2020年4月~民法改正による不動産売買契約書の主な変更点を解説【第13条】契約不適合による修補請求等(※代金減額請求および損害賠償請求)
2020年4月1日より施行された民法改正により、不動産売買契約書が一部変更になりました。
今回は何回かにわたり民法改正により不動産売買契約書の主な変更点を解説いたします!
【第13条】瑕疵の責任→契約不適合による修補請求等(※代金減額請求および損害賠償請求)
①個人間取引(土地・戸建)の場合
(改正前)
1.売主は、買主に対し、土地の隠れたる瑕疵、および建物の隠れたる瑕疵につき以下のものに限り責任を負います。
(1) 雨漏り
(2) シロアリの害
(3) 建物構造上主要な部位の木部の腐蝕
(4) 給排水管(敷地内埋設給排水管を含む。)の故障
なお、買主は、売主に対し、本物件について、前記瑕疵を発見したとき、すみやかにその瑕疵を通知して、修復 に急を要する場合を除き売主に立会う機会を与えなければなりません。
2. 売主は、買主に対し、前項の瑕疵について、引渡完了日から3ヶ月以内に請求を受けたものにかぎり、責任を負うものとし、買主は、売主に対し、前項の瑕疵により生じた損害の賠償または瑕疵の修復の請求をすることができます。
3. 買主は、売主に対し、第1項の瑕疵により、本契約を締結した目的が達せられないとき、引渡完了日から3ヶ月以 内にかぎり、本契約を解除することができます。
4. 売主は、買主に対し、本契約締結時に第1項の瑕疵の存在を知らなくても、本条の責任を負いますが、買主が本契 約締結時に第1項の瑕疵の存在を知っていたときは、売主は本条の責任を負いません。
(改正後)
1.売主は、買主に対し、引渡された土地および建物が品質に関して契約の内容に適合しないもの(以下「契約不適合」といいます。)であるときは、引渡完了日から3ヶ月以内に通知を受けたものにかぎり、契約不適合責任を負います。ただし、建物については次の場合のみ責任を負います。
(1) 雨水の浸入を防止する部分の雨漏り
(2) 建物の構造耐力上主要な部分の腐食
(3) シロアリの害
(4) 給排水管(敷地内埋設給排水管を含みます。)・排水桝の故障
2. 売主が、買主に対し負う前項の契約不適合責任の内容は、修補にかぎるものとし、買主は、売主に対し、前項の契約不適合について、修補の請求以外に、本契約の無効の主張、本契約の解除、売買代金の減額請求および損害賠償の請求をすることはできません。ただし、前項の土地の契約不適合により本契約を締結した目的が達せられ ないときは、買主は、売主に対し、本契約を解除することができます。
3. 買主は、売主に対し、本物件について第1項の契約不適合を発見したとき、すみやかに通知して、修補に急を要す る場合を除いて立会う機会を与えなければなりません。
4. 売主は、買主に対し、本契約締結時に第1項の契約不適合を知らなくても、本条の責任を負いますが、買主が本契約締結時に第1項の契約不適合を知っていたときは、売主は本条の責任を負いません。
変更箇所は?
・「瑕疵」が「契約不適合」へ変更
・「請求」が「通知」へ変更
・「雨漏り」が「雨水の浸入を防止する部分の雨漏り」へ変更
それぞれ表現を改めたが、契約不適合責任の範囲には変更はありません。
・建物の構造耐力上主要な部分の腐食(木部という言葉を除外)
これにより鉄部の腐食も売主の責任の範囲となり、木造だけでなく鉄骨造の戸建も対応が可能になりました。
・「排水桝」を追加
排水管と排水桝の区分が不明確なため、排水桝についても契約不適合責任を負うことを明確化。
・売主が買主に対し負う契約不適合責任の内容は「修補」に限るものとし、それ以外の、契約の無効、解除、売買代金の減額請求または損害賠償の請求を認めないことになりました。ただし、土地の契約不適合については、目的が達せられないときは、契約解除を認めています。
(マンションの場合)契約不適合責任範囲の変更
(改正前)
(1) 雨漏り (2) シロアリの害 (3) 給排水管の故障
(改正後)
(1) シロアリの害 (2) 給排水管の故障
マンションの「雨漏り」は共用部分の不具合または、共用部分に原因がある不具合であるため、契約不適合責任範囲からは「雨漏り」は除外されました。
②売主が宅建業者(不動産会社)の場合
(改正前)
1.売主は、買主に対し、本物件の隠れたる瑕疵について責任を負います。
2.売主は、買主に対し、前項の瑕疵について、引渡完了日から2年以内に請求を受けたものにかぎり、責任を負うも のとし、買主は、売主に対し、前項の瑕疵により生じた損害の賠償を請求することができます。
3. 買主は、売主に対し、第1項の瑕疵により、本契約を締結した目的が達せられないとき、引渡完了日から2年以内 にかぎり、本契約を解除することができます。
4. 売主は、買主に対し、本契約締結時に第1項の瑕疵の存在を知らなくても、本条の責任を負いますが、買主が本契 約締結時に第1項の瑕疵の存在を知っていたときは、売主は本条の責任を負いません。
(改正後)
1.売主は、買主に対し、引渡された本物件が種類または品質に関して契約の内容に適合しないもの(以下「契約不適合」といいます。)であるときは、責任を負うものとし、買主は、売主に対し、次のとおり請求することがで きます。
(1) 買主は、売主に対し、本物件の修補を請求することができます。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課すものではないときは、買主が請求した方法と異なる方法による修補をすることができます。
(2) 前号の場合において、買主が、売主に対し、相当の期間を定めて修補の催告をし、その期間内に修補をしないときは、買主はその不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができます。ただし、買主が売主に催告しても修補を受ける見込みがないことが明らかであるときは、催告をすることなく直ちに代金の減額を請求することができます。
(3) 第1項の契約不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、第1号の修補請求、第2号の代金減額請求のいずれもすることはできません。
2. 第1項の契約不適合が、本契約および社会通念に照らして売主の責めに帰すことができない事由によるものであるときを除き、買主は、売主に対し、損害賠償を請求することができます。
3.買主が、売主に対し、引渡完了日から2年以内に契約不適合の旨の通知をしないときは、売主は、買主に対し、前 2項の責任は負いません。
変更点は?
売主宅建業者の場合は、
大きな変更点はありませんが、買主の救済措置(修補に応じない場合の代金減額請求等)が細かく明記されてます。
また、改正前の第4項の記載が除外されました。宅建業法第40条の「買主に不利となる特約をしてはならない」に抵触することになるため記載が除外になっています。
③新築戸建(売主が宅建業者)の場合
(改正前)
1.売主は、買主に対し、本物件の隠れたる瑕疵について責任を負います。
2. 売主は、買主に対し、前項の瑕疵について、引渡完了日から2年以内に請求を受けたものにかぎり、責任を負うも のとし、買主は、売主に対し、前項の瑕疵により生じた損害の賠償または瑕疵の修復の請求することができま す。
3. 買主は、売主に対し、第1項の瑕疵により、本契約を締結した目的が達せられないとき、引渡完了日から2年以内 にかぎり、本契約を解除することができます。
※ここまでは「売主宅建業者」の場合と一緒です。
4. 第2項、第3項にかかわらず、売主は、買主に対し、本契約が新築住宅の売買契約であるため、「住宅の品質確保 の促進等に関する法律」に基づき、別表に掲げる「住宅のうち構造耐力上主要な部分または雨水の浸入を防止する部分」の瑕疵(構造耐力または雨水の浸入に影響のないものを除く。)については、表記瑕疵の責任期間起算の時から10年間、責任を負います。
5. 前項の瑕疵の責任期間起算の時が、「住宅新築請負契約の請負人から売主への引渡しの時」の場合で、本契約締結時に建物未完成(売主への未引渡し)のため、その日付を明記できないときは、売主は、買主に対し、本契約の引渡日までに当該引渡しの時を通知します。
(改正後)
1.売主は、買主に対し、引渡された本物件が種類または品質に関して契約の内容に適合しないもの(以下「契約不適合」といいます。)であるときは、責任を負うものとし、買主は、売主に対し、次のとおり請求することがで きます。
(1) 買主は、売主に対し、本物件の修補を請求することができます。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課すものではないときは、買主が請求した方法と異なる方法による修補をすることができます。
(2) 前号の場合において、買主が、売主に対し、相当の期間を定めて修補の催告をし、その期間内に修補をし ないときは、買主はその不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができます。ただし、買主が売主に催 告しても修補を受ける見込みがないことが明らかであるときは、催告をすることなく直ちに代金の減額を請求す ることができます。
(3) 第1項の契約不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、第1号の修補請求、第2号の代金減額請求のいずれもすることはできません。
2. 第1項の契約不適合が、本契約および社会通念に照らして売主の責めに帰すことができない事由によるものである ときを除き、買主は、売主に対し、損害賠償を請求することができます。
3.買主が、売主に対し、引渡完了日から2年以内に契約不適合の旨の通知をしないときは、売主は、買主に対し、前 2項の責任は負いません。
※ここまでは「売主宅建業者」の場合と一緒です。
4.前項にかかわらず、売主は、買主に対し、本契約が新築住宅の売買契約であるため、「住宅の品質確保の促進等 に関する法律」に基づき、別表に掲げる「住宅のうち構造耐力上主要な部分または雨水の浸入を防止する部分」 の契約不適合(構造耐力または雨水の浸入に影響のないものを除きます。)については、表記契約不適合の責任 期間起算の時から10年間、責任を負います。
5.前項の表記契約不適合の責任期間起算の時が、「住宅新築請負契約の請負人から売主への引渡しの時」の場合 で、本契約締結時に建物未完成(売主への引渡し未了)のため、その日付を明記できないときは、売主は、買主 に対し、本物件の引渡完了日までに当該引渡しの時を通知します
変更点は?
新築戸建(売主宅建業者)の場合は、
第1項~第3項までは「売主宅建業者の場合」と変更点は一緒です。
第4項・第5項は改正前も改正後も変更はありません。
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